神のいつくしみの礼拝者の運動

1935年の聖霊降臨の夜、シスター・ファウスティナは庭を歩いていた時にこんな言葉を耳にしました。「あなたは、あなたの同志と共に自分たちと全世界のためにいつくしみを願い求めることになるだろう」 (435)。シスターはこの言葉を、自分の修道会を出て、新しい修道会を創立するような命令として理解しました。シスターは、自分の弱さを言い訳にして、このインスピレーションを避けようとした時、「恐れないで。あなたに足りないところを、わたし自身が補おう」 (435) 。そして、「このような会が存在することを求める」(437)とイエズスは言われました。別の時にイエズスはもっと詳しく説明してミサの時にこのような言葉を語りました。「この会は出来るだけ早く創立されることを求める。そしてあなたは、あなたの同志と共にこの会に生きるだろう。私の霊があなたたちの生活の会則となる。あなたたちの生活は、馬小屋から十字架の死に至るまでのわたしを手本としなければならない。わたしの神秘に入り込みなさい。そうすれば、あなたは必ず、被造物に対するわたしのいつくしみの淵とわたしのはかり知れない善を悟る。あなたは、それを世界に知らせるだろう。あなたは、祈りによって天と地との間の仲介となる」(438)。

神の限りないいつくしみを宣べ伝えること、このいつくしみを全世界のために願い求めることを目的とする新しい観想修道会を創立しなければならないとシスターは確信していましたが、イエズスに言われた通りに霊的な指導者や上長の許可なしには、何もしないことにしていました。
一方では、新しい会を造るように言われ、またもう一方では、新しい修道会を創立するために退会することを許さない指導者や上長に従うように言われたファウスティナは、何をしても、イエズスの望みを実現出来ないようにみえる状態にありました。それは、何よりも神のみ旨を愛し、み旨を行うことを糧にしていたファウスティナにとって、非常に大きな苦しみとなり、シスターを完全に浄化する程の霊的な試練の時となりました。
この苦しい状態は、凡そ二年間続きました。最終的に憐れみの聖母修道女会を退会すること、また新しい修道会を創立することは、イエズスの望むことではなかったとファウスティナは分かるようになってきました(1155-1158)。 イエズスが求めた会というのは、観想会と活動会の修道者や司祭と一般信者などすべてのキリスト者が属することの出来る一つの組織を超える集会、言わば大きな運動のことでした。
聖ファウスティナの日記から分かる通り、この運動に参加する人は、教会の刷新を求めて、神のいつくしみへの礼拝の実践を通して福音的な信頼といつくしみの精神を生き、イエズスがファウスティナに与えた使命、すなわち世界のために神のいつくしみを願い求め、特に神のいつくしみを全世界に宣べ伝えるという使命を果たすように努めます。シスターの言葉によれば、運動の参加者は、一日に少なくとも一つのいつくしみの行ないをすべきです。
シスター・ファウスティナは、イエズスに教えられた精神を生き、与えられた使命を完全に果たすことによって、この運動の最初の参加者となり、それに参加しようと思う人々に優れた模範を示しました。

VI 現代における教会の祈り