「苦しい体験をキリストと分かち合う」とは、傷つけられた心を手当するための具体的な「道具」です。今まで紹介したことを理解したうえで、以下の質問に答えながら、イエスと対話することによって、傷ついた心の癒しは促進されるはずです。
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- イエスが一緒にいることを意識してから、聖霊の照らし、また、自分の心を正直に見つめることができるために必要な謙遜と勇気を祈り求めてください。
- それから、以下の質問に基づいて、エルサレムからエマオに逃げていた弟子たちがキリストに自分の失望について話したように(ルカ24,13-35)キリストに自分の苦しい体験について話してください。
- キリストと一緒に過ごすこの時間が、本当に分かち合い、また、対話となるために自分が話すだけではなく、時に沈黙の内にとどまり、イエスがあなたに語る言葉を聞き取るようにしてください。
- 最初から最後まで連続でやるよりは、毎日少しずつ(たとえば一回20分)進んだ方が良いでしょう。
- 一つの質問に答えることができない時には、次の質問に進んでください。最後のところに着いてから、もう一度、最初からやってみると、癒しが進んだならば、前の答えを深めることや答えることのできなかった質問に答えることができて、癒しが更に深まるのです。
1.あなたを傷つけた相手(人、団体、組織)
- 誰があなたを傷つけましたか。
- この人とどんな関係がありましたか。
- この人は、あなたに対してどんな責任や義務を持っていたのでしょうか。
- この人はあなたにどんな約束を与えたことがあったのでしょうか。
- この人に関して、どんな期待や希望を持っていましたか。
- この人は、あなたと縁のない人だったならば、他人に対して持っている期待や希望についてとか、あなたにとって人間関係のあるべきあり方について考えてみてください。
2.苦しい体験
- あなたは、どのように傷つけられましたか。
- 相手は何を言って、何をしたのでしょうか。
- どんなことが起こりましたか。
3.相手に対するあなたの今の気持ち
- 相手に関して何を感じていますか。
- 相手をどういうことで訴えていますか。
- この人は、どんな人だと思いますか。どんな表現、象徴やたとえが最も相応しく、この人を描くのでしょうか。
4.苦しい体験に対するあなたの直接の反応
- 相手の言葉や行動に対して、あなたはどのように応えましたか。その時の気持ち(感情、感覚)や思いを思い出してから、なるべく詳しく自分の言葉や行いについて話してください。
- どうして、自分がこのように反応したと思いますか。
- 過去に同じような体験をしたことがありますか。その時の自分の感情・思いや反応と、今の感情・思いや反応を比較してみてください。似ているところ、それから異なっているところは何ですか。共通点や違いのわけについて考えてください。
- この人の言葉や行動が起こした感情は、過去にも浮かんだことがありますか。この感情を起こした他の体験(出来事)を思い出せますか。どういうことでしたか。この過去の出来事と今回の傷(苦しみ)との関係について考えてください。
- この出来事によって、あなたが今まで人の前に自分自身について隠していたこと、または、自分自身が知らなかったことは(他人や自分自身に)現されましたか。
- この出来事によって何が変わりましたか。特にできなくなったことについて考えてください。
- 自分の反応によって、何を守ろうとしましたか。守ることができましたか。
- この反応によって、何を得ましたか。何か失ったことがありますか。
- 結果を見て判断すれば、この反応は正しかったと思いますか。
5.あなたの傷
- 自分の傷をどのように描きますか。何に例えることができますか。
- この出来事によって、どんな計画や夢が壊されましたか。この計画や夢の実現は元々可能なものでしたか。この実現は誰かに、または何に頼りましたか。これから、それを実現するために、何が必要ですか。
- この人に対する何かの期待や希望が失われましたか。この期待や希望は、根拠のあるものとか、現実的なものだったと思いますか。自分には、このようなことをこの人から期待する権利がありましたか。この人には、この期待や要求を満たす義務(責任)がありましたか。この人には、この期待や要求を満たす可能性がありましたか。満たさなかったのはなぜだと思いますか。もし、この期待や要求が満たされたならば、それはあなたにとって、それとも、この人との関係や他人にとって、本当に良いことだと思いますか。
- あなたが大切と思ったもの、価値のあると思ったものが相手の言葉や行いによって攻撃されたと思いますか。それは、相手にとって何かの危険性を持つものでしたか。それは、今でも大切で、価値のあるものだと思いますか。
6.あなたの損失
- この出来事によって、あなたが何を失いましたか。
- 失ったものは、あなたの人生においてどんな役割を果たしていましたか。どんな価値を持つものでしたか。
- この損失は、あなたの人生や生き方にどんな影響を及ぼしていますか。
- この損失についてどう思いますか。それを失って残念でしたか。それとも(苦しくても)良かったですか。
- 失ったものを取り戻すことができますか。できるならば、取り戻す価値があると思いますか。取り戻したいですか。取り戻すことができないならば、どのようにそれ無しに生きることができると思いますか。代わりになるものがありますか。失ったものよりも、良いものがありませんか。
7.傷つけられた心
- あなたを傷つけた相手や傷つけられた自分自身などに関して抱いている感情や思いは、あなたの生き方にどんな影響を及ぼしていますか。普通の生活や仕事の妨げになっていませんか。この感情や思いのために、今までしたいと思ったことや、正しいと思ったことや、自分、それとも他人にとって良いと思ったことなどができなくなっていませんか。逆に、今まで、正しくないと思ったことや、避けたいと思ったことや、良くないと思ったことをしていませんか。
- この感情や思いのためにとっている態度、語っている言葉や行っていることなどによって、愛している人を傷つけないでしょうか。
- この感情や思いは、他人との関係、または神との関係にどんな影響を与えていますか。
- この状態についてどう思いますか。それを変える必要があると思いますか。変えたいですか。なぜ。
- 傷つけられた心が癒されたら、要するに今あなたの人生に悪い影響を与えている感情や思いがなくなれば、あなたの生活はどのように変わりますか。この変化による望ましいことの他に、望ましくないこと、または難しいことや苦しいことが発生すると思いますか。どんなことですか。
- 心の傷による(あなたを傷つけた)相手に対する敵意や他の感情や思いがなくなることを望んでいますか。
- あなたの人生に害を与えている心の傷が癒されることを望んでいますか。
8.心の傷の肯定的な側面
- この出来事から何かの良いものが発生しましたか。
- この苦しい体験の何か肯定的な側面を見出せますか。
- この体験によって、大事なことで、今まで知らなかったか、意識していなかったことに気が付いたことはありませんか。自分自身のことや、他者、世界や神のことを前よりもよく知るようになりませんでしたか。
- 人生について新しい知識や知恵を得ていませんか。この知識を自分の人生において、どのように利用することができますか。この知識や知恵を利用すれば、あなたの人生がどのように変わりますか。
- この体験によって、あなた自身が肯定的に変わったことがありますか。
- この体験によって、他の人との関係が深くなったか、他の意味で良くなったことがありますか。
- 新しく得ている知識や知恵、またはあなたに起こった変化において、これからの人生のために何かの導きや指摘を見出せますか。それをどのように生かしたいですか。
- この傷が別の方法で、あなたの人生に肯定的な影響を与える可能性がありますか。この苦しい体験を生かす方法を想像してみてください。この可能性を実現するために何が必要ですか。
9.あなたを傷つけた相手
- あなたを傷つけた人において何か良いところを見いだすことができますか。
- 傷つけられる前に、この人においてどんなところが良いと思いましたか。あなたを傷つけたこの人の言葉や行いによって、その良いところは無効になったとか、完全に無くなったと思いますか。
- この人は、どうしてこのように振る舞ったかということを知っていますか。この言葉や行いによってあなたを傷つけるということを意識していたでしょうか。何を目指し、何のためにこのような行動をしたのでしょうか。(例え、間違った方法を選んだとか、あなたにとって何が必要であるかということを勘違いしていたゆえに)結果的にあなたを傷つけることになっても、本当は、あなたの善を求めたという可能性はないのでしょうか。この人は、別の人の善を求めませんでしたか。この人に完全な自由がなくて、その振る舞いは、何かの依存や圧力、または他の限度(限界)の結果ではありませんでしたか。あなた自身が何かの仕方でこのような振る舞いを促したのではないでしょうか。
- この人が回心したとか、悪いところを正したならば、この人に対する態度がどのように変わりますか。もし、この人がそれを必要としているならば、回心を応援したり、そのために祈ったりすることができますか。
- いつ、どんな場合、どんな条件でこの人をゆるしていいと思いますか。
- もし、この人をまだ全然ゆるすことがデキないならば、いつかゆるす恵みをいただきたいと思いますか。その恵みをいただくために祈ることができますか。