4.霊的な生活

人が、人間らしく生きて最終的に幸せになるためには、動物と共通する肉体的必要性、また精神的必要性とともに、被造界において人間の特有の霊的必要性が満たされなければなりません。霊的な世界は、命のない物質的な世界と違って、非人格的なエネルギーの現実ではなく、人格的な存在、つまり自由意志と理性を持つ存在の現実です。霊的な生活の目的とは、何らかのエネルギーを得ることではなく、この霊的な存在と正しい関係を結び、この宇宙万物を創造してくださった方との信仰・希望・愛に基づく関係に入り、その関係を成長させて、さらに完成させることです。霊的な成長は、真の友情関係の発達に似ていると言えるでしょう。友情関係の正しい成長と完成のためには、互いの自由を尊重し合いながら、いろいろな段階を超えていかなければなりません。そのため、真の友情関係の発達には、意識的な努力、場合によっては犠牲だけではなく、長い時間と大きな忍耐が必要とされるのです。同じように霊的な生活においても、目に見えない相手の自由を尊重しながら、どんなときにもこの関係に忠実に生きていかなければなりません。何らかの技術によって相手をコントロールしたり、何らかの目的のために相手を利用したり、何らかの近道をとって成長の段階を飛ばしたりすることはできません。

霊的な生活は、多くの素晴らしい出会いと発見に満ちた旅でもあると言えるでしょう。全く未知の、自分の力だけでは知ることのできない世界を旅するのです。迷わずに正しい道に進むためには、信頼のできる本物の霊的な指導者が不可欠です。ちょっとした安らぎを得るために何でも受け入れてしまうような苦しい状態になってしまう前に、あなたの自由意志が制限されないゆとりがあるうちに、自分のために最も相応しい霊的な道をゆっくりと探すことが賢明だと思います。

霊的な旅を成功させるためには、苦しみに満ちた現実から様々な幻想に逃避するのではなく、開かれた心を持って、絶えず真理を求め、現実に留まらなければなりません。まず認めなければならない一つの事実は、人間はこの世に生きている限り、苦しみから逃れる術はないということです。したがって、苦しみから逃れることを霊的な旅の目的としてはいけません。様々な霊的な危険性を避けるためには、これは大事なことです。霊的に豊かになった人は、たとえ他の人と同様に様々な苦難に出逢うことがあったとしても、それらすべてを善のために用いることができます。本来であれば人に害を与えてしまう経験でさえ、自分や他の人の成長を促進する力に変えることができるのです。ですからこの人は、あらゆる心配や恐れから解放され、どんな状況においても平和と喜びに満たされた人生、しかも自分がイキイキとするだけではなく、他の人をも生かす人生を送ることができるのです。霊的な生活のために、十分な時間と力をかけて真の霊的な道を歩み、霊的に豊かになることは、あなた自身にとって、またあなたの周りの大切な人々にとっても、何よりも大事なことだと思います。