「そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』」マタ25,40
イエスがピラトの前で言ったように、ご自分の国はこの世に属していません(ヨハ18,36)。 したがって、王であるイエス・キリストの王国はこの世の王国と異なるものですし、イエス自身もこの世の王たちとまったく異なっておられる王なのです。イエスは軍隊も警察も持っていないし、誰にも服従を強いることもなければ、ご自分の王国を暴力によって守ったり、広めたりすることもありません。それからキリストは、仕えられる王ではなく、仕える王なのです。しかも、人の善のためにご自分の力を尽くすのみならず、ご自分の命さえもささげます。なぜなら、イエスは、ご自分の味方となっている人だけではなく、すべての人を愛しておられる王であるからです。
多くの人にとってそのような王は、非常に弱く見えるし、無視しやすくて、侮辱しやすい者なのです。けれども、イエスはご自分を無視する人も、ご自分を侮辱する人も愛し続けます。そして、この愛のゆえに、この人たちがイエスを自分の王として、自分の主として認めるようにと、ご自分の王国、つまり神の国に入るようにと、絶えず招き続けるのです。決して滅ぼされることも、消えることもないこの愛こそ、イエスの力なのです。死よりも強いこの愛のために、イエスの支配は終わることがないし、その王国は永遠に存在し続けるのです。
イエスの招きに応えて、イエスを本当に自分の王、自分の主として認めた人は、イエスと同じように愛に生きています。自分を生かすために他人を利用するのではなく、必要があれば自分を犠牲にしながらも、他人の善のために力を尽くします。したがって、愛に生きている人は誰でも、たとえイエスを知らなくて、意識的にイエスを自分の王として認めていなくても、実際にイエスに従っているし、イエスに属していると言えます。けれども、イエスを王として認めていると言いながらも、愛に生きていない人は、実際にはイエスに属しているとは言えないでしょう。
全能永遠の神よ、 あなたは、天地万物の王であるキリストのうちに、 すべてが一つに集められるようお定めになりました。 造られたすべてのものが、罪の束縛から解放されてあなたに仕え、 栄光を終わりなくたたえることができますように。 聖霊の交わりの中で、 あなたとともに世々に生き、支配しておられる御子、 わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。