「イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』 これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。」マタ22,37-40
数年前に、 「おそらく、神が存在していないので、人生を楽しんでください」という言葉が書かれた広告がロンドン市で現れたようです。この広告を出したのは、無神論者会です。この言葉を見る限り、彼らにとって神とは、人間が楽しく(幸せに?)生きるのを妨げる存在、または発想なのです。もしかしたら、彼らが考えているような神は、人間をいじめるために、楽しいことを禁じて、楽しくないことを命じる方なのです。そうだとすれば、実はそんな神は存在していないので、安心しましょう。
キリストが啓示してくださった神が人間から最終的に求めているのは、ただ一つ、それは愛することなのです。神は、私たちから愛することを要求しているだけではなく、キリストによって、愛することが不可能である状態から私たちを解放し、愛する可能性も与えてくださったのです。神が遣わしてくださったキリストの救いの業のおかげで、私たちは愛に根ざした、最も人間らしい、最も幸福な人生を送ることができるようになったわけです。本当に存在している神は、人間にとって最も幸せな生き方を妨げるのではなく、逆にそれを可能にしてくださる方なのです。ですから、神が存在していなければ、私たちには幸せに生きる可能性すらなく、いろいろな苦しみの中で、時に自分の欲望が満たされるというような希望しか持つことができなかったがゆえに、私たちは実際には、絶望的状態の内に生きたはずなのです。
しかし、神の望みに応えて愛に生きれば、人間は必ず永遠の命を受け継ぐということを、イエス・キリストが私たちに約束してくださいました。永遠の命とは、神の愛のうちに永遠に生きることなのです。要するに、人間が地上で、愛に生きることを学ぶならば、この愛が死を超えて、永遠に延ばされるということになるわけです。神のおかげで、私たちはこの地上だけではなく、永遠に愛することができますので、神が存在していないということではなく、キリストが啓示してくださった神が本当に存在しているということこそ良い知らせで、宣べ伝える価値のある事実なのです。
恵み豊かな神よ、
わたしたちの信仰、希望、愛を強めてください。
すべてに越えてあなたを愛し、
約束された永遠のいのちを受けることができますように。
聖霊の交わりの中で、
あなたとともに世々に生き、支配しておられる御子、
わたしたちの主イエス・キリストによって。アーメン。